国産木材の魅力と木を使うことの大切さを伝え続けた
MOCTIONの5年
都市だけ、森林だけで、暮らすことはできない。
東京都が運営するMOCTIONは、この5年間、国産木材の魅力と木を使うことの大切さを発信し、
都市と森林、人と木々の繋がりを取り戻すため、さまざまな木材の活用方法を提案してきました。
本ぺージではMOCTIONに関わった専門家や企業、自治体から寄せられた
日本中の森と街の「今」と「未来」へのメッセージを掲載しています。
全国と東京を木がつなぐ時代に
MOCTIONをご利用頂く皆さまへ感謝の言葉
東京と日本各地を繋ぐ架け橋として
この度、国産木材の魅力発信拠点「MOCTION」が開所5周年という節目を迎えることができました。皆様の御支援と御協力に、心より御礼申し上げます。
MOCTIONは、館長に隈研吾氏を迎え、令和2年12月に東京・新宿に開所して以来、全国の自治体と連携しながら、木材の大消費地としての強みを生かし、木材の需要拡大に向けた歩みを進めてまいりました。
国産木材の魅力をより多くの人に伝えるべく、地域材製品の展示や木材利用に関するセミナーなど様々な企画を行っており、令和6年度には約1万人の方々にご利用いただくなど、様々な形で木との繋がりの場を提供しております。
今後も、「木の国・日本」の再生、「木の都市・東京」の実現へ、大消費地東京と日本各地の木材産地を結ぶ架け橋として、また、木と私たちを繋ぐ出会いの場として、大いにご活用いただければ幸いです。
このMOCTIONが、国産木材の利用拡大を通じ、全国各地の森林循環の促進、国土強靭化の一助となることを祈念し、私からの挨拶とさせていただきます。
MOCTIONは、東京という場所の発見である
5年前、コロナの真っ最中の、光がみえない状態でMOCTIONは産声をあげた。ある意味コロナは、僕の意識を大きく変える、人生の転機であった。もともと環境に対しては興味を持っていたが、自分のまわりの環境が、自分の生命とつながっていて、環境への無配慮は死に直結するという感覚が芽生えはじめた。もうひとつは、自分のまわりの場所に対する強い愛情が芽生えたことである。ロックダウンされて、神楽坂の自分の家のまわりを、一日歩きまわった。人生で初めての体験であった。自分の家の近くに、こんなに素敵な場所があるのに気づき、それまで、その魅力に気付かずにいた自分の無神経に愕然とした。
この二つの転機は、東京で日本の木をもっと使おう、東京の森に目を向けようというMOCTIONの動きとは、無関係ではない。あの時機だからこそ、MOCTIONは始まったのだし、その始まりを、いつまでも大事にしなければならない。MOCTIONは、単に木の発見ではなく、場所の発見なのである。
MOCTIONセミナーにご登壇された
トップランナーや
専門家の皆さまからのメッセージ
開所当初から続いているMOCTIONセミナーでは、伐採から木材利用まで幅広い分野で活躍する方々をお招きし、さまざまな角度からの活動報告や問題提起、提言を行ってきました。今回、皆様からはそれぞれの現在地をご紹介いただきました。
(内田洋行グループ)
(内田洋行グループ)
令和3年3月29日講演
●資源循環型木材活用モデルの蓄積
内田洋行グループの木材活用は、地域産材の活用を軸に、設計・調達・施工を一体化する手法として各地に広がりつつあります。また、地域材の利用のみならず、お客様が所有する森林の活用や、大学との研究林活用の取組みへと応用が進んでいます。内田洋行グループではこれからも資源循環型の木材活用モデルとなるような事例を積み重ねていきます。
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東京農工大学 名誉教授
東京農工大学 名誉教授
令和3年5月27日講演
●GHG排出削減に資する事業へと展開
令和3年5月の講演以降に、針葉樹丸太、構造用の製材と集成材、CLT、構造用と型枠用の合板の代表性のある原単位構築事業の主査を任され、木質ボードの再評価と共に、全成果をこの7月までにレベルの高い英文誌に投稿した。国交省の建築物LCCO2評価制度検討会の委員にも加えてもらい、木材利用によるGHG排出削減にLCAの立場で貢献させてもらっている。
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代表取締役
代表取締役
令和3年6月29日講演
●無垢材活用で真庭市へ
MOCTIONの隈さんとの対談動画を見たという、CLTで有名な真庭市の役所の方から連絡をいただき、無垢材を活用するプロジェクトを2年間やりました。BeLINというスギとヒノキをハイブリッドしたパネル商品を開発し、展覧会を開催。駅舎の内装に使われ、万博にも出展する流れとなりました。今や真庭は第二の故郷のようになっています。
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スタジオ紡
スタジオ紡
令和3年10月28日講演
●生き物である木とともに
環境や法律が変わり、家づくりに求められる性能も変化しています。こうした今だからこそ木材活用と同時に成長する時間や特徴をより知ってもらうため、循環の出発点である林業地での体験や多摩産材で造った建物でのイベントなどを続けています。これからも身近に地域材を使う楽しみを共有できるつながりを作っていければと思います。
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COO
COO
令和4年5月20日講演
●それでも、愛はまだ足りていない
あれから3年。「ちょっと愛が足りない気がする」という問いの解には辿り着けていません。でも、このセミナー動画をきっかけに一緒に働くことになった仲間やプロジェクトを共にする同士が増え、勇気をもって発信することの価値を実感しています。今後、国産木材を利活用した「その先」に注目し、ちょうどいい対話と発明の場をつくっていきます。
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令和4年12月3日講演
●都市木造の普及モデルをローンチ
ポスト・コロナの社会は暮らしと仕事の境界を曖昧にし、それぞれの空間のあるべき姿を自由にした。2024年、我々の設計により竣工した8階建て耐火木造ビルは都市の標準的な景観を形造る延床2000平米未満、高さ31メートルまでの都市木造普及モデル。いかなる都市生活者も自由で人間らしい環境を手に入れられる木造ビルのプロトタイプ。
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令和5年3月2日講演
●森林の可能性は無限大
持続可能な社会に向けて、国土の7割を占める森林は、環境・経済・社会の側面を統合的に向上させることができます。森林に自分事として関わる「一社一山」に挑戦したいという企業や森林ビジネスに挑戦する人も増えてきました。森林の可能性は無限大であり、地域の森林をモリアゲるための具体的な一歩を踏み出しましょう。森林はみなさんを待っています。
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令和5年3月2日講演
●林業×教育=後継者育成!?
セミナーに登壇した際に、林業体験のお話をしましたが、あれから2年経ち、様々な幼稚園、保育園、小学校から、ご要望を頂いています。当然1人ではやりきれないほどのニーズです。今後は、このニーズに対応できるような人材の育成も、林業やりながら地道にやっております。我こそは、一緒に活動するぞ!という方、青梅の山奥でお待ちしています!
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取締役会長
取締役会長
令和5年5月30日講演
●ヒダクマメンバーが笑顔のわけ
広葉樹は小径木、多樹種、曲り木が多い。厄介だから、補助金も出ない。でも補助金がないからこそ、ヒダクマは広葉樹が生み出す表情や用途を考え抜くことができた。木が大切だからこそ木と鉄・ゴム・アクリル・セメントなど他素材とのコラボレーションも進めてきた。そりゃ、楽な道ではない。でもね、未来を夢想しいつもワクワクしているんだ!
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令和5年11月16日講演
●業界の目的から、みんなの方法へ
建築や都市の木質化を目指す活動MOCTION。いきおい「木」は目標に掲げられているわけですが、本当の成功は「目的」としての「木」ではなく、個人や社会の幸福を得るための「方法」として皆が認める「木」になることです。そのためには今、多くの人々に木の良さを実際に経験してもらうことが大切です。「木の素晴らしい空間」を実現していきましょう。
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令和6年5月23日講演
●森林業へ事業フィールドを拡大
私は2008年にフェアウッド宣言し、地域材の利活用を軸に事業展開してきました。その過程で、森林が様々な課題、問題を抱えていることに気付き、現在は木材の利活用に加え、森林を活用したエコツーリズム、森林浴、森育をはじめ、森林から得られる様々な資源やサービスを組み合わせた「森林業」に注目し、事業フィールドを全国に拡大しています。
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前館長
前館長
令和6年10月4日講演
●木と人がともに紡ぐ街づくり
全国に広がる木育拠点「おもちゃ美術館」では、国産木材のぬくもりを生かし、子どもから高齢者まで木とふれあう場を育んでいます。
木はおもちゃや建築、街づくりなどその姿を変え、豊かな暮らしを創造します。
木から多くを学び、人と自然が寄り添う社会の実現を目指し、木育の可能性をさらに広げていきたいと考えております。
令和7年2月25日講演
●山と人の共存を森と街で考える。
日田の森の中、斧を振り百年生の杉の木を伐倒したあの日から3年。
その切り株の前で百年杉の板を食卓にし、集った人達と“きこりめし”を囲んだ。
食後にその板を切り分け、椅子づくりまでを楽しんだ。
野鳥は森をつくる担い手。
晩秋の頃、「鳥さんの家」をキャンバスに見立て、40名の作家が森や鳥を想い表現した作品展示会を佐賀の街で開催した。
令和7年6月19日講演
●生活者と森の接点を増やす産業を
我々は食領域から林業の発展を目指します。中でも、森に自生する在来スパイスに目をつけ、特用林産物の開拓を行います。この一年間だけでも、以前は森に眠るだけで一切価値が付かなかった森林素材が、市場で食品として受け入れられ始めています。とある県では「新たな特用林産物に指定を!」と話題になっていたり...。まだまだ可能性がある日本の森。自然資本を育む林業をつくりたいです。
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令和7年10月24日講演
●都市の隙間を木でデザインする
都市木造の実現を目指してから四半世紀が経ち、都心部では高層木造建築が実現され、その魅力が一般化されつつあります。一方で、小規模でも地域社会に必要とされ愛される木造建築や、既存ストック再生で国産木材を活用するなど、木造の魅力や可能性はまだまだ多様に拡がっており、今後も木造・木質化の新たな可能性を探りたいと考えています。
動画はこちらMOCTIONショールームに出展された
自治体や
事業者の皆さまのメッセージ
開所から5年間、ショールームでの全国木材利用の展示やワークショップ、WEBでの事業紹介、木材手配のマッチングを続けてきました。今回は、その活動を代表して8団体の皆様からメッセージをいただきました。
