団体/栃木県環境森林部 林業木材産業課
概要
栃木県というと、観光で有名な日光や鬼怒川などを思い浮かべる方も多いと思いますが、実はこれらの地域は林業とも深い関りがあるのをご存じでしょうか?
県西の「日光林業地」や県北「八溝林業地」では江戸時代から林業が営まれていますし、「鬼怒川筏(いかだ)流し唄」という船頭唄があるように、筏(いかだ)に組まれた木材は鬼怒川を下って利根川へと運ばれ、江戸の街にも供給されていました。
こうした林業の歴史を古くから受け継いできた栃木県の「とちぎ材」は、恵まれた気候条件や土壌によって育まれ、現在でも木材の素材や製品生産量で関東有数の規模を誇っています。
無垢材・建築用材としての活用を積極的に進めている「とちぎ材」ですが、その取組の中でも特徴的なのは、木の含水率を下げることで変形や収縮を防ぐ「乾燥材」の生産量が全国トップクラスであること。そして、木材の「強度性能」や「含水率」を明らかにする「グレーディングマシン」の導入を進め、木材ごとに木材強度(ヤング係数/E)、含水率(SD)、製品番号を印字して、「とちぎ材」の品質と性能を明らかにしていることではないでしょうか。
こうした「とちぎ材」の活用促進への取組について興味のある方には、まずこちらの HP・冊子がオススメです。
「とちぎ材」の特徴がわかりやすく網羅されています。
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もっと具体的に建築用材として「とちぎ材」の活用を考えている方には、こちらの専門的な冊子が役立つのではないでしょうか。今回の MOCTION 企画展で配布・展示されている冊子と同じ内容が HP からもダウンロードできるようになっていますので、なかなか新宿に来られない方は、ぜひこちらをご覧ください。
◇ 冊子 「とちぎ材」のすすめ
~優れた品質と強度性能~
◇ 冊子 とちぎスギ平角材「横架材スパン表」
~とちぎスギ平角材の品質と曲げ性能~
◇ 冊子 「中大規模木造建築物の普及マニュアル
~とちぎ材による木造・木質化~」
◇ 冊子 「中大規模木造建築物の普及マニュアル 2
~事例・防耐火・新たな技術~」
◇ 冊子 「とちぎ材を活かした木造建築を進める工夫
~”材工分離発注”の手引き~」
様々な木造工法の実例や、構造材としての木材の性能など、多くのデータや情報がまとめてあるので、木造建築を検討されている設計・建築関係の方はもちろん企業や自治体の方にとっても、とちぎ材活用を検討する心強い資料になりそうです。
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その他にも、「とちぎ材」の活用範囲を広げる取り組みは数多く行われています。昔から木工芸が盛んな土地柄ということもあって、家具や生活雑貨などの木製品はバリエーションも豊富で、各工房がそれぞれの技術や経験を活かした新しい製品づくりを行っているようです。
○ 表紙~目次
○ 構造材・内装材、コラム
○ 机・椅子・家具 、コラム、雑貨・食器類
○ エクステリア・その他、掲載企業一覧
建築関係では内装材にも力を入れているようで、表面に装飾的な仕上げ加工や特殊加工をほどこすなど、県内の各企業が様々な製品を開発しているようです。今回の企画展示でもいくつか内装材のサンプルを実際に見る事ができます。
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栃木県の林業・木材産業全体の特徴としては、民間の様々な取り組みを自治体も県内経済を担う柱の一つと考え、成長産業化していくために官民一体となって活動しているようです。
例えば、これまで強みとして持っていた無垢材としての活用だけでなく、集成材としての活用も強化しCLTにも着手する。他には、バイオマス発電施設に残材を集約し、安定供給できるエネルギー産業への発展を構想するなど、栃木県では新たなチャレンジが始まっているようです。
首都圏への近さを活かした需要拡大と、県内の新産業発展に具体的に取り組んでいる「とちぎ材」のMOCTIONには、参考になるアイディアが沢山あると思いますので、みなさんもぜひ注目してみてくださいね。